「CPUが高ければいい」「メモリは多いほどいい」——そんな漠然としたイメージで選んでしまうと、予算を使いすぎたり、逆に必要なスペックが足りなかったりします。この記事では、CPU・GPU・メモリ・SSDの4つを、ベンチマーク数値ではなく実際の編集作業でどう体感が変わるかという視点で解説します。
動画編集PCを選ぶ「3つの判断軸」
当ラボでは、PC選びの基準として常に3つの軸を使っています。スペック表の数字に振り回されないための、実務視点の指標です。
- 体感優先:Cinebenchのスコアより「タイムラインがスムーズに動くか」で判断する
- GPU・VRAM優先:動画編集はGPU依存度が高い。CPUより先にGPUを決める
- 過不足のなさ:オーバースペックは正義ではない。用途と予算に合った「ちょうどいい1台」を選ぶ
GPU・VRAM:最初に決めるべき最重要パーツ
動画編集において、GPU(グラフィックボード)は映像のエフェクト処理やカラーグレーディング、書き出しの速度に直結するパーツです。VRAM(グラフィックボード専用のメモリ)の容量が不足すると、プレビューが止まったりレンダリングが遅くなります。
当ラボが推奨するVRAMの目安は以下のとおりです。
| 用途 | 推奨VRAM | 体感の目安 |
|---|---|---|
| FHD(1080p)編集 | 8GB | Premiere Proで快適にカット・テロップ編集ができる |
| 4K編集 | 12GB以上 | カラグレのノードを複数重ねてもプレビューが止まらない |
| 8K / RAW編集 | 16GB以上 | RAWデコードとカラグレを同時に処理できる安全域 |
CPU:シングルコア性能が体感に効く
CPUは動画編集の「段取り役」です。タイムラインの操作、クリップの配置、ソフトの動作全般に関わります。動画編集では、多数のコアを並列で使うよりも、1コアあたりの処理速度(シングルコア性能)が体感のスムーズさに直結します。
2026年5月時点での当ラボの推奨ラインは、Intel Core Ultra 7以上、またはAMD Ryzen 7以上です。Core i5やRyzen 5でも動作しますが、タイムラインに多数のクリップを並べたときの反応速度に差が出てきます。
メモリ(RAM):32GBを最低ラインに
メモリはPCが一時的にデータを保持するための作業スペースです。動画編集ではソフトウェア・プレビューバッファ・素材展開などで大量のメモリを消費します。
- 32GB:FHD編集の最低ライン。Premiere Proをメインに使うなら最初から32GBを選びましょう
- 64GB:4K案件や、After Effectsとの並行作業に対応できる余裕のある容量
- 128GB:8K/RAW・複数ソフトの同時起動など、プロの制作環境向け
SSD:容量と速度の両方を確保する
SSDは編集素材の読み込み速度と、作業の快適さに直結します。動画編集では、SSDを2本用意して「システム用」と「素材・キャッシュ用」に分けて運用するのが理想です。
- 読み取り速度:3,500MB/s以上(NVMe)を選びましょう。SATA SSDは動画編集では力不足です
- 容量:システム用500GB〜1TB + 素材用1〜2TBが目安。4K素材は1分で約4GBと大きいです
まとめ|用途別スペックの最終判断
スペック表の数字は、あくまで「実作業でどう感じるか」の参考値です。この記事の判断軸を基準に、次は予算別のおすすめ構成記事もあわせてご覧ください。